不動産投資の節税効果|節税になる税金の種類と注意点
不動産投資のメリットを調べている方や節税方法を調べている方なら、1度は「不動産投資に節税効果がある」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
特に年収が高い方ですと、「節税になるなら始めてみようかな」と、不動産投資に興味をもたれているかもしれません。
今回は不動産投資について、実際に節税になる税金の種類と始める前に知っておくべき注意点をご紹介します。
目次
不動産投資で節税できる4つの税金の種類
不動産投資で節税できる税金は次に挙げる4種類となります。
- 所得税(節税効果・小)
- 住民税(節税効果・小)
- 相続税(節税効果・大)
- 贈与税(節税効果・大)
後ほど詳しく説明しますが、この中で所得税と住民税については、節税効果を期待して不動産投資を始めるとガッカリされるケースが多いです。
それに対して、親族に財産を相続・贈与するときに発生する相続税と贈与税については、不動産投資による節税効果が高いです。
それぞれの税金が不動産投資でどのような節税効果が得られるか、注意点があるか見ていきましょう。
所得税・住民税の節税効果があるのは経費がたくさんかかる最初だけ
不動産投資の運用で出た赤字が課税所得から引かれて節税に
- 節税の概要:確定申告で不動産所得が赤字なら、赤字分が課税所得から控除される
- 所得税:翌年4~5月に還付金がもらえる
- 住民税:翌年6月からの住民税が減額される
- 節税効果が高い物件:新築物件
- ポイント:節税効果は最初だけで、黒字になったら納税額は増える
不動産投資を始めると、給料以外の収入が発生しますので確定申告を行う必要があります。
不動産投資を行うと、家賃収入があるだけではなく、ローン金利・固定資産税・減価償却費などの経費も発生します。
この経費が収入より多い場合、つまり不動産所得が赤字の場合、課税所得が減額されます。
例えば、家賃収入が年間100万円あるけれど、経費が300万円かかった場合は、課税所得は200万円分減ります。
運用がうまくいくと黒字になって逆に税金が増える
経費には以下の費用が含まれます。
- 登記費用(購入時のみ)
- 不動産取得税(購入時のみ)
- 仲介手数料(購入時のみ)
- 減価償却費(年々減っていく・中古だとない場合がある)
- ローン金利(年々減っていく)
- 原状回復費用(年によって変わる)
- リフォーム費用(年によって変わる)
- 固定資産税
- 火災保険料
…など
これを見てもお分かりいただけるかと思いますが、最初の年は初期費用が多くかかり、確定申告上赤字になることが多く、節税効果を得られますが、次の年からはなくなるものや減っていくものもあり、節税効果はどんどん薄くなります。
新築物件のほうが、節税効果が得やすいといわれている理由は、中古物件よりも初期費用が高いからという点と、減価償却費を計上できるという点です。
法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造の住宅用新築物件の場合、建物躯体が47年、建物設備が15年です。中古物件は築年数によっては減価償却費がなくなっている場合があるので、すぐ節税効果はなくなってしまいます。
また、運用がうまくいって黒字になるとその分の収入が給与に上乗せされる形で納税額が増えます。
新築を買い足しつづけて節税効果を得続けようとする方もいらっしゃいますが、1件や2件でずっと節税は無理ですし、資産状況によって借入額にも制限が出てくるので、あまり現実的ではありません。
経費上乗せはNG!目先の利益にとらわれずに
白色申告の仕組みを利用した経費上乗せはNG
不動産投資で白色申告をする場合には、領収書などの提出義務がありません。
この仕組みを利用して、実際には使っていない経費を上乗せして、わざと赤字にして「節税」としている人もいますが、税務署から指摘されると追徴があるのでやめておきましょう。
不動産投資は目先の節税・家賃収入のための投資ではない
不動産投資についてよく勘違いしたまま始めてガッカリされる方がいらっしゃいますが、今回紹介したようにずっと節税できるわけでも、ローンを組んでいる場合はすぐに手元に家賃収入が残るわけでもありませんので、目先の利益を目的に始められることはオススメできません。
不動産投資は、長期的に安定して運用し、ローン期間中の生命保険効果やローン完済後に家賃収入を得たり売却したりすることを目的として始めるのがベターです。
相続税・贈与税は不動産投資による節税効果が大きい
現金で相続するより不動産で相続する方が税金が安い
- 節税の概要:現金なら全額相続税の課税対象のところ、不動産なら相続税の課税評価額が低くなる
- メリット:相続人が現金で支払う相続税を減らせる
- 節税効果を高めるポイント:人に貸しているとさらに相続税の課税評価額が低くなり減税
相続税は持っている資産の評価額で税額が決まり、どういう形態で資産を持っているかが関係してきます。
例えば、現金はそのままの評価額となりますので、1億円なら評価額も1億円です。その評価額のうち最大55%の相続税が引かれてしまいますので、できるかぎり評価額を下げたいですよね。
不動産の場合は土地と建物にそれぞれ評価基準があり、1億で買った物件でも相続税評価額は1億より少なくなります。
土地の評価は通常、路線価額で、公示価格の8割程度が評価額となります。また、建物の評価は、固定資産税評価額を基に算出され、一般的に新築時の建築費用の6~7割程度となっているようです。
また、人に貸しているとさらに相続税評価額は下がるので、節税効果が高まります。
この評価額は贈与税でも同様の仕組みで算出されます。
投資で増えた現金でさらに不動産を買って生前贈与するという方法も
不動産投資がうまくいくとその分また現金が増え、嬉しい事とはいえ現金資産が増えてしまいますよね。
この現金でさらに不動産を購入し、贈与して節税対策を行っていらっしゃるケースもあります。
相続税も贈与税も支払いは現金なので負担を考えておく
いくら減税されたとはいえ、相続税は高額になります。全て不動産で相続した場合でも、税金の支払いは現金で行う必要がありますので、相続された側、贈与された側も大変だということも念頭に置いておきましょう。
不動産投資で満足な節税効果が得られるのは相続税・贈与税
不動産投資で節税効果が得られる税金は【所得税・住民税】と【相続税・贈与税】の2つに分けられますが、【所得税・住民税】の節税を目的に始められると数年で節税効果なくなってがっかりして売却してしまい結果的に損するというケースも見られます。
【所得税・住民税】の節税を目的に始めるのではなく、「不動産投資を始めた場合に確定申告で節税できる」という仕組みをしっかり理解しておくというスタンスでいることが大切です。
【相続税・贈与税】については実際に節税効果が得られますが、相続を考え始める50代以降の方しか自分には関係ないと思われているかもしれません。
しかし「相続なんてまだまだ先の話しだし…」と思われている方でも、あまり利息の付かない貯金より、不動産投資のほうが、将来的に家賃収入が入ることで利回りも高くなると想定されますし、いつかは考えなくてはならない相続税対策にもなるので早めに始めるのも良いかと思います。
個々人の経済状況や家族構成などにより、詳細な節税額は変わりますので、まずは目的に応じた専門家と相談してみることがおすすめです。