旧大家検定「不動産実務検定」は役に立つ? | 個人投資家が取り組むメリット
「大家検定」という検定の名前を聞いたことはあるでしょうか?
実はこの大家検定、2014年から「不動産実務検定」という名前に改訂されています。
とはいえ、“不動産投資家の受検を考えた検定”であることには依然として変わりなく、不動産関係の仕事に就いていなくても、誰でも挑戦可能です。
そんな不動産実務検定ですが、実際のところ、いち投資家が同検定に合格することにどんなメリットがあるのか、ピンときていない人も多いはず。
- 不動産投資・運用に役に立つって、本当?
- 役に立つって、どう役に立つんだろう?
今回は、上記のような疑問を持たれている人に向けて、大家検定改め、不動産実務検定に関する情報をお届けしたいと思います。
目次
旧大家検定「不動産実務検定」は何のための資格?
J-RECの不動産実務検定は、健全な経営を実現したい大家さん、これから不動産投資によって安定した将来を実現したい方、また、より高度なコンサルティング技能を身につけ顧客に安心したサービスを提供したい建築不動産関係の方のために不動産運用にまつわる実践知識を体系的に網羅した日本初の不動産投資専門資格です。
つまるところ、旧大家検定「不動産実務検定」は、
- 顧客に良いサービスを提供するために不動産投資の知識をつけたい
- 健全で堅実な運用を、長期的に続けていきたい
上記のような気持ちを持っている、建築・不動産業界関係者、そして個人投資家が、必要な不動産投資(運用)の知識を幅広く得るための資格だということです。
不動産実務検定に合格するためには、空室対策や税知識をはじめとする不動産投資のあらゆる基礎知識はもちろん、資産運用を続けるならぜひとも身につけておきたい、長期的なライフプランの考え方についても触れることになります。
「不動産実務検定」は、個人投資家の役に立つ?
まず、「不動産投資・運用をするなら不動産実務検定は必須なのか?」と言えば、答えは「NO」です。
現に、不動産実務検定を持たずに堅実・健全な不動産運用に成功している投資家は、数多くいます。
不動産実務検定を所有していないと投資用不動産が買えない、もしくは選択肢が狭まるといった不都合点も特には無いのです。
さらに、次の項目で詳しく説明しますが、不動産実務検定は比較的易しい資格です。
そのため、「検定や資格の価値が合格する難しさにある」という考え方だと、不動産実務検定のメリットを感じにくいかもしれません。
しかしもちろん、不動産実務検定を受けることが無駄ではないことは確かです。
不動産投資のブロガーや、体験談を集めたWEBページを見ていると、「独学で十分かと思っていたけれど、受けてみて良かった」という旨の意見を、多く目にできます。
・不動産投資の勉強をするモチベーションを維持しやすかった
・不動産投資にどういった知識が必要なのかサッパリだったが、理解できた
・初心者であることに不安を感じていたが、少し自信がついた
・受検にあたり幅広い分野の勉強を始めた結果、苦手な所・知らない所に気付いた ……etc
つまり、不動産実務検定の資格所有が、分かりやすく直結していく利点はあまりないのですが、「モチベーション維持」や「自信の獲得」など、精神面では意外にも大きな役割を果たしていることが推測できます。
目標のない勉強を苦痛に感じる人は、“不動産実務検定の合格”を目標にすると、弾みをつけて勉強しやすくなるかもしれません。
不動産実務検定2級・1級については、持っているだけで「プロフェッショナル!すごい!」と特別扱いされる類の資格ではないのですが、不動産投資初心者が身につけるべき知識に幅広く触れられるのは確かですし、独学に飽きてきたタイミングで力試しに検定を受け、合格すれば独学へのモチベーションがうまく回復するとも考えられます。
【まずは独学で不動産投資の知識を身につける人のためのコラム】
「不動産実務検定」は難しい? 各級の合格率と出題分野
先ほどの項目でも少し触れましたが、「不動産実務検定」は、その他多くの建築系・不動産系の資格の中で割合易しく、合格率も高い傾向があります。
不動産投資の参考図書を読むだけでも、より簡単な2級は合格者が多いと言われていますし、少し難易度が上がる(合格率が下がる)1級でも、公式に検定範囲をカバーできるオンライン講座・DVD講座を受講すれば、合格しやすいです。
もちろん、「受ければ受かる」レベルの易しさではありませんが、「どうせ受からないしなぁ」と思うレベルでも全くないので、検定を受ける雰囲気に慣れていない人も、安心して挑戦してみましょう。
きちんと時間をとって勉強していれば、1発合格も難しくないと思います。
また、不動産実務検定は全国各地のテストセンターにて、ほぼ毎日試験が行われています。
もしも不合格になっても再チャレンジは容易ですので、諦めず不動産実務検定にリトライしてみましょう。
※以下、不動産実務検定2級・1級に関する記述は、2019年9月現在「日本不動産コミュニティー」が開示している情報に基づくものです。
「不動産実務検定2級」の合格率と出題分野
2018年度不動産実務検定2級の合格率
約67%
不動産実務検定2級の出題分野
「満室経営」を目指す知識の習得が、不動産投資実務検定2級の主な目的です。
- 人口動態
- 需要予測
- 賃貸管理運営実務
- 入居者募集
- 契約
- トラブル対応
- 高齢者対応
- 外国人対応 ……etc
【 参考 】
⇒ 一般社団法人日本不動産コミュニティー『不動産実務検定2級認定講座』
「不動産実務検定1級」の合格率と出題分野
2018年度不動産実務検定1級の合格率
約43%
不動産実務検定1級の出題分野
2級の内容よりも、さらに実務的な知識を体系的に習得することが、不動産実務検定1級の主な目的です。
- 土地活用
- 不動産調査
- 不動産投資戦略
- 建築基準法
- 民法
- 税務
- ファイナンス
- 競売
- 借地取引 ……etc
【 参考 】
⇒ 一般社団法人日本不動産コミュニティー『不動産実務検定1級認定講座』
「不動産実務検定」の挑戦にメリットがある人
ここまでの内容から、どういう人に不動産実務検定の取得が向いているのか、簡単に整理してみましょう。
- 不動産投資に必要な基礎知識を幅広く得たい人
- 目標を決めて不動産投資の勉強を進めたい人
- 自信をつけ、投資の勉強のモチベーションを保ちたい人
- 投資用不動産を自己管理する人
- 管理会社は入るが、自分の知識がまったく及ばないのは嫌な人
- 自分が大家であると説明する際、肩書きがあると便利だと思う人 ……etc
簡単に整理するとは述べましたが、いざこうして列挙してみると、あらゆるニーズに応えることが可能だと言っても、過言ではなさそうです。
少なくとも、「取る必要はない」と断言できる人はいないので、不動産実務検定に挑戦してみたい人は細かいことを気にせず、どんどん挑戦すればよいと思われます。
まとめ
以上、不動産実務検定が実際何の役に立つのか、個人投資家にどんなメリットがあるのか、解説しました。
不動産実務検定の取得は、不動産投資・運用を始めるにあたり必須ではなく、また急務でもありませんが、チャレンジすることは全く無駄にはならない、そういうモノなのです。
「いい会社とパートナーになれば、自身の不動産投資の知識は浅くても大丈夫」と、不動産投資について誤解されることが稀にありますが、実際のところ不動産実務検定で学ぶレベルの基礎知識が無いと、堅実的な運用を長く続けることは“かなりしんどい”です。
旧大家検定改め不動産実務検定は、自分にそうした基礎的な不動産投資・運用の知識が身に付いているのかを知る、いい物差しになるでしょう。
先述した検定の特性上、「いついつまでに勉強を完了させなくてはいけない!」という負担は無いので、独学や初心者向けセミナーの参加の経験を積んで、ある程度自信がついたら、そう気負わずに受けに行ってみるのはどうでしょうか?