「自己破産」を分かりやすく解説 | 原因・結果・回避策は?

自己破産

 

不動産投資の失敗談のなかで、よく聞く言葉が「自己破産」です。

「自己破産の危険性が……」「自己破産には陥らないよう……」とたびたび言われますが、具体的にどんなことが起きるのか、分からない人も多いはずです。

そこで今回は、「自己破産とは何なのか?」を分かりやすく解説。

自己破産の原因や、不動産投資による自己破産を回避するための心得も、お伝えします。

「自己破産」とは個人の経済を再建する制度のこと

自己破産とは、減収・失業・介護・離婚など、様々な理由で個人の経済が立ち行かなくなってしまった人が、裁判所に申し立てをして財産を清算する手続きのことをいいます。

「自己破産してしまったら終わり……」と、とても悪いことのようなマイナスイメージを持たれている人も多いですが、実際はそうではなく、自己破産は個人の経済を再建するための前向きな制度とも言えます。

続く項目では、「自己破産手続きの流れ」、「自己破産(および免責)のメリット・デメリット」「自己破産の後の暮らし」など、自己破産とは何かを理解するための基本事項を述べていきます。

自己破産の原因

自己破産の原因には、様々あります。

失職して生活費に困り、消費者金融でお金を借りたものの、利子で返済額が膨れ上がり、借金を借金で返すことに限界が来るパターンが1つ。

また、若年層に多いのがクレジットカード破産です。

中年層であれば、身内の入院・介護費や教育費、住宅ローンなどの支払いが苦しいところに、自身のリストラなどによる予期せぬ収入ストップで、自己破産にいたることが多いです。

自己破産すると、どうなるのか?

メリット 安心

「心を決めて、自己破産をする」

そのことで、債務者にとってプラスなことも、マイナスなこともあります。

自己破産をするとどうなるのか、6つのポイントを分かりやすく説明します。

  1. 借金がゼロになる
  2. 借金の取り立てが行われなくなる
  3. 資産を没収される
  4. 一定期間、クレジットカードを作れなくなる
  5. 一定期間、ローンを組めなくなる
  6. 一定期間、特定の職業に就けなくなる

【1】借金がゼロになる

裁判所に対し自己破産を申し立て、破産手続きの決定と同時に免責決定も得ることができれば、罰金・損害賠償などを除いた、すべての債務の返済義務が免除されます。

 

つまり、借金がゼロの状態から、個人の経済の再建を図ることができるのです。

【2】借金の取り立てが行われなくなる

自己破産に至るまでの間、道理ではあるものの債権者から取り立てを受け、それが心理的な負担になっている人も数多くいます。

ただ、自己破産の手続きに踏み切り、弁護士あるいは司法書士の協力のもと、債権者に対し受任通知・介入通知をすれば、債務の取り立ては行われなくなります

 

また、給料の差し押さえなどの強制執行も行われません。債務免除と同じく、個人経済の再建を図れる環境がある程度は整うわけです。

しかし、不動産や車など価値のあるものは、受任通知などに関係なく、裁判所の判断により管理・処分されることを、理解しておきましょう。

 

【POINT】自己破産しても手元に残る「自由財産」について

財産

“自己破産=すべての資産が没収される”という認識をしている人が意外と多いですが、実はそうではありません。

自己破産によって一文無しになってしまったら、普通に生きていくことができなくなりますよね。

 

そこで基本的には、生活のために99万円までの現金の保有が認められており、この差し押さえされない現金のことを「自由財産」と呼びます。

ただしこれらの財産が同時廃止案件になるのか、少額管財案件になるのかなど、細かい規則は管轄の裁判所によって異なるため、各自確認する必要があるでしょう。

 

参考:松谷司法書士事務所自己破産をしても残せる財産

 

【3】資産を没収される

当然と言えば当然ですが、自己破産は「どうしても債務を果たすことができない」ことを理由に認められるものなので、返済の“アテ”になるような価値を持つ資産は基本的に没収されます。

マイホームを含めた不動産や、主に車などが該当する時価20万円以上の資産が、没収の対象です。

 

先述した自由資産以外は、没収の対象に成りうると覚悟しておいたほうがいいでしょう。

【4】一定期間、クレジットカードを作れなくなる

自己破産をすると、その事実が信用情報機関に記録されてしまいます。いわゆる、“ブラックリスト入り”です。

各クレジットカード会社は、申し込み者の支払い能力・信用度の審査過程で、信用情報機関への照会を行うため、自己破産をした経歴があることが判ってしまいます。

 

当然ながら、自己破産履歴のある人=支払い能力に乏しい人・信用度が低い人と見なされるため、クレジットカードの審査に通る可能性は極めて低いです。

自己破産によりブラックリスト入りした人が、あらためてクレジットカードを作れるようになるまでには、5~10年ほどかかると言われています。

【5】一定期間、ローンを組めなくなる

ローン 審査

先述した、クレジットカードが作れなくなる理由と同じくして、自己破産が原因で信用情報に傷がつくことにより、ローンの審査にも極めて通りにくくなります。

住宅ローンやマイカーローン、不動産投資ローンなど、あらゆるローン審査に支障があるでしょう。

 

再びローンが組めるようになるまでにも、やはり5~10年はかかると言われています。

【6】一定期間、特定の職業に就けなくなる

免責が決定すれば復職・就職が可能ですが、自己破産の手続きの間は働くことができない職業があります。

手続きの間、資格が剥奪されて就けなくなる職業には、弁護士・司法書士・税理士・宅地建物取引士・警備員などがあります。

 

特に、時間がかかる「少額管財」を経由した自己破産手続きをする場合、このデメリットは厳しいものとなるでしょう。

【POINT】自己破産手続きを専門家に依頼するお金がない!

投資 失敗 お金ない

「自己破産をするほどお金がないのに、弁護士や司法書士にどうやって依頼するの?」という疑問も多いかと思います。

 

自己破産者のこうした事情を重々踏まえ、分割支払いに対応している専門家や、免責許可を得た場合に報酬をとらない専門家などがあるので、問い合わせの段階で「自己破産を依頼するお金が捻出できないことにも困っている」と伝えるとよいでしょう。

 

弁護士に依頼するにしろ、司法書士に依頼するにしろ、料金が明確であるところへの依頼がマストです。

また、国が運用する制度「民事法律扶助」を利用できた場合でも、依頼費用の負担が減るため、困っている人は1度相談してみることを推奨します。

 

参考:日本司法支援センター法テラス民事法律扶助

自己破産しても失われないもの

人生

自己破産の手続きをした、免責が決定し積もり積もった債務がゼロになった……。

ただし1番の大きな不安は解決されていません。それは、“自己破産後の人生”についてです。

 

  • 家族を失うのか?
  • 仕事を失うのか?
  • 人権の一部を剥奪されるのか? ……etc.

様々な心配があるかと思いますが、基本的に人生が狂うような惨事にはなりません。

 

「官報」という日刊紙に氏名・住所が掲載されてしまうものの、これにはごくごく一部の人しか目を通さないため(しかも自己破産者は毎日多数あります)通常は親類・仕事場などに、勝手に自己破産の事実が露呈してしまうことはありません

 

よって、自己破産を直接的な理由として家族を失う、あるいは仕事を失う可能性は低いでしょう。

選挙権など国民の権利や、海外旅行などの人生を楽しむ権利が剥奪されることも勿論ないため、安心して個人経済の再建に取り組めます。

 

【POINT】自己破産しても残るものの例

・賃貸住宅に住まう権利 ※家賃を払っている場合
・海外へ渡航する権利
・年金 ※きちんと納めている場合
・仕事 ※一部業種を除く
・選挙権  ……etc.

自己破産しないで、不動産投資を成功させるには?

不動産投資の失敗も、自己破産の原因の1つです。

不動産投資の失敗による自己破産を防ぐには、事前の入念な勉強適切な物件選びが必要です。

不動産投資についてしっかり勉強する

不動産投資で失敗しないためには、まずは不動産投資の種類と違いをしっかり理解することが必要です。

書籍や不動産投資系コラムの閲覧による、不動産投資の基本的な勉強のほか、余力があれば税金関係の勉強・不動産業界全体の勉強・金融業界の勉強もしておきたいところ。

また、不動産投資セミナーへ積極的に参加することも、大きな意義があります。

→ 別記事 不動産投資の勉強方法 | 進め方と初心者がおさえるべき内容を読んでみる。
→ 当社グランヴァンのセミナー「年収500万からできる初心者のための不動産投資セミナー」はこちらをご覧ください。

 

失敗しにくい投資用不動産を選ぶ

不動産投資の成功は、最初の物件選びにほとんどかかっていると言っても、過言ではありません。

失敗しにくい投資用不動産の条件は、例えば以下のようなものです。

  • ニーズのあるエリアにあること
  • 生活のしやすい住環境であること
  • 適切な利回りであること
  • 住宅設備や収納が充実していること
  • 物件管理が行き届いていること

単に投資用不動産販売会社の担当者の話だけを聞いて、投資用不動産を決めるのではなく、現地調査(実地調査)といわれる、自分の目で物件やその周辺環境を見極めて決めることが大事です。

 

【まとめ】自己破産はあくまで“最終手段”であり原則回避するべきもの

不動産投資 計画的

自己破産は、破綻した個人の経済を再建する、“救済案”のような存在。

とはいえ、「万が一うまくいかなくても、自己破産があるからいいか!」と無茶な投資に手を出すのはNGです。

 

不動産投資についても、「万が一の場合は自己破産すればいい」という考え方ではいけません。

自己破産による不都合は多々あり、人生が大きく狂わされることはないにしても、やはりあくまで自己破産は“最終手段”なのです。

 

そして、不動産投資の失敗による自己破産を回避するには、事前勉強の質を高めることが大切です。

不動産投資のプロによるセミナーへ参加し、堅実な資産形成のための基本知識を身に付けましょう!

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