遊休地の5つの活用方法を分かりやすく解説 | 持て余している土地が副収入源に?

遊休地

 

“親から相続したけれど、何にも使っていない空き地”はありませんか?

こうして長らく利用目的のない土地を、『遊休地・遊休土地』と言います。

 

実は近年、資産運用・資産形成の観点から、これら遊休地の活用についての注目度が高まっています。

「どうしていいか分からない」、もしくは「どうにかするのが面倒」な遊休地をうまく活用することで、立派な副収入源と成り得る場合があるのです。

 

今回は、親族から相続したまま持て余すケースがよくある、遊休地の活用方法についてまとめました。

【はじめに】遊休地の正しい定義とは?

遊休地の活用方法をお話する前に、遊休地がどういった土地のことを指すのか、もう少し説明しておきます。

 

遊休地は、土地の取得(相続含む)後、2年以上目的をもって活用されていない土地のことです。

国土利用計画法の許可・届出をして取得してから、2年以上経っても何も活用されていない遊休地は、各都道府県知事により”特に活用を促進する必要がある”とみなされます。

 

自分で提出した国土利用計画法の届出のもと、各都道府県による遊休地活用の助言・勧告が行われますが、それに従わない場合は、所有する遊休地を地方公共団体に売却する協議に入らなくてはいけません。

 

  • すべての空き地が遊休地というわけではない (※該当する場合が多いが)
  • 遊休地を放置していると、売りたくなくても売らないといけない場合がある

遊休地の定義について、今回は上記の2点だけ覚えておけば大丈夫です。

遊休地を活用する5つの方法 | まず2パターンに大別

土地活用

さて、遊休地の定義を述べたところで、実際に遊休地をどのようにうまく活用していけばいいのか、説明していきましょう。

遊休地の活用方法は実に数多くあり、所有者のアイデア次第では、その活用方法は無限だと考えてもいいくらいです。

 

ただ、そうして考え得る遊休地の活用方法の、すべての枚挙には暇がありませんし、遊休地の活用方法がずらっと何十個も並んだら、逆に迷いが生じるかもしれません。

 

  1. 太陽光発電所の設置
  2. 駐車場の経営
  3. トランクルーム/貸倉庫の経営
  4. 賃貸住宅の経営
  5. 定期借地として貸出

そこで今回は、特に注目度が高い5つの遊休地活用方法を厳選してみました。

 

「遊休地をどんな風に活用したいのか?」という、土地所有者の気持ちや資産形成のプランによって、5つの遊休地活用方法を2パターンに大別し、それぞれの活用方法の概要、そしてメリットやデメリットを述べたいと思います。

【1】リスクを抑えた3つの遊休地活用方法

  • 太陽光発電所の設置
  • 青空駐車場の経営
  • トランクルーム/貸倉庫の経営

上記は、”土地活用の準備にかけられる時間やお金がない人”や、”難しい活用方法は避けたい人”に向いている、3つの遊休地活用方法です。

 

3つの方法とも、莫大な収益が見込めるわけではないですが、“日々の暮らしにゆとりをもたらす”レベルの資産形成には役立ち、土地活用が初めてでも比較的取り組みやすいことが魅力です。

 

太陽光発電と青空駐車場経営、そしてトランクルーム/貸倉庫経営の共通項は、「売却したい」という考えに変わった場合に、更地に戻しやすいことでしょう。

《1》遊休地を「太陽光発電」に活用する

太陽光発電

【太陽光発電の平均利回り 約10%】

 

遊休地を活用する方法の1つが、ソーラーパネルの設置です。空いたスペースを使って、太陽光発電をしようという訳ですね。

ソーラーパネルで起こした電力を、電力会社に供給(売却)できるようになったのは2009年からと、つい最近のことではありますが、遊休地活用としての認知度は高いようです。

 

太陽光発電の初期費用は、ソーラーパネルの敷設面積によって異なるため、高いか安いか一概には言えませんが、運用中のコスト(ランニングコスト)については、きわめて少ないことが利点です。

ただし台風や落雷など、自然災害の直撃によりソーラーパネルが破損するリスクは踏まえなくてはいけません。

 

太陽光発電は周りに高い建物が少なく、日照時間が長い地域の遊休地を活用すると、人口が少ない過疎地域でも比較的安定した利益を生み出すことができます。

※太陽光発電による利益の安定性は、”再生可能エネルギーを国が定めた価格で、一定期間業者が買い取ることを義務化”した「FIT法(固定価格買取制度)によって、より強化されました。

 

太陽光発電は、後述する他の方法で”遊休地をうまく活用できない”と推測できる場合の、有力な打開案でしょう。

 

< 太陽光発電について書かれたおすすめページ >

⇒ 経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」
※上記ページへの「新しいタブ」が開きます。

《2》遊休地を「青空駐車場の経営」に活用する

不動産投資 駐車場

【駐車場経営の平均利回り 約4%】
※満車経営の場合、50%に達することもある

 

遊休地が住宅街の一部に位置していたり、交通量の多い道路の近くにある場合は、青空駐車場を経営して活用する方法があります。

 

更地にロープなどで区分けをすることが1番低コストですが、車1台ぶんあたり10~30万円の初期費用を準備できれば、上の写真のようにアスファルト舗装や車止めの設置をして、月極駐車場の体裁をきちんと整えられます。

駐車場の利用率を高い水準で保つなら、上記工事を行うことが推奨されます。「自分の車を停めてもいい」と思える駐車場にしておきましょう。

 

固定額で電力を買い取ってもらえる太陽光発電と比較して、駐車場経営は利益の安定性には少々欠けます。

しかし、遊休地から駐車場への整備にあたって、何らかのローンを組んでいなければ、利益の増減が生活資金を圧迫することはほとんどないので、そう大きな不安を抱える必要はありません。

 

ちなみに、コインパーキング経営立体駐車場経営も、遊休地の活用方法としては存在しますが、狭小地には向かず建築コストもかかることから、「手間・コスト・リスクが少ない」とは言えないので、今回は除外しています。

 

ただ、青空駐車場の経営であっても、デメリットは少なからず存在するため、活用に踏み切る前には必ず把握しておきましょう。

不動産投資として駐車場を経営する3つのデメリット | 「気楽にできる」は間違い

 

ちなみに、初期費用がかかる(2台で約200万円)ものの、先述したソーラーパネルとカーポートが一体化した、ソーラーカーポートの設置も、遊休地の1つの活用案です。

200万円前後の初期費用が回収できる年数、駐車場の経営を続けることが確実であるなら、選択肢に入れてみてもいいかもしれません。

《3》遊休地を「トランクルーム/貸倉庫経営」に活用する

トランクルーム

【トランクルーム経営の平均利回り 約20%】

 

近年の日本人のライフスタイルでは、”家の大きさの割にモノが多い”傾向が見られます。

「収納スペースが足りない!」という悩みを解決したのが、トランクルーム/貸倉庫の増加であり、遊休地の活用方法としても注目されています。

 

似た活用方法である、青空駐車場経営と比較するトランクルーム/貸金庫経営ならではの利点は、市街地からのアクセスが必ずしも良好でなくてもいいこと、そして遊休地が平面でなくても“置き方の工夫”でコンテナの設置数が確保できることが挙げられます。

 

変形地・狭小地に、駐車可能台数が少ない駐車場を無理に作るよりも、工夫してたくさんのコンテナを置いたほうが効率的かもしれないということです。

 

トランクルーム/貸倉庫を遊休地で経営する場合、主に「一括借上方式(経営は業者委託)」と「業務委託方式(経営は遊休地の所有者)」の2つの方式に分かれますが、基本的にコンテナの設置費用が遊休地所有者の負担であることは、どちらの経営方式でも同じなようです。

トランクの設置費用は、1台当たり50万円前後です。

 

遊休地をトランクルーム、および貸倉庫として活用する注意点は、市街化調整区域に含まれる土地にはコンテナの設置ができないために経営が不可能である点です。

 

また、利用者の募集・PRを任せる業者の手腕によっては、トランクルーム/貸倉庫として、地域の住人に認知されるまでに時間がかかる(=収益が入りだすまで時間がかかるかもしれない)ことにも、留意しておきたいです。

【2】収益に期待できる2つの遊休地活用方法

  • 賃貸住宅経営
  • 定期借地として貸出

引き続いて紹介する2つの遊休地活用方法は、先述した「太陽光発電」と「駐車場経営」、そして「トランクルーム/貸倉庫経営」と比べて、考慮すべきデメリットの規模が大きい方法です。

その代わりに高い収益、あるいは手間の割に高い収益を期待することができます。

 

“遊休地がもったいないし、何とかして活用したい”という感じではなく、“長く徹底的に活用して、資産形成にしっかり役立てたい”とお考えの人に、適している方法だと思われます。

逆に言うと、数年で同遊休地を転用、または売却することが確定しているなら、以下の活用方法は避けたほうがいいでしょう。

《4》遊休地を「賃貸住宅経営」に活用する

賃貸住宅経営

【新築マンション経営の平均利回り 約4%】

 

遊休地に一棟アパートあるいはマンションを建築して、自分がオーナーとして家賃収入を得ることも、1つの活用方法です。

更地から上記建物を建築する場合、5000万円から数億単位の莫大な初期費用がかかりますが、”常に満室経営”といわんばかりに経営が長期間うまくいけば、得られる収益もかなり大きいです。

 

貯蓄額が多く自己破産のリスクが少ない人は、遊休地に投資用不動産を丸々一棟建築して、ハイリスクの代わりにハイリターンを狙いに行くことも、悪くはありません。

遊休地の立地条件がよく、周囲の物件の家賃相場が高いようであれば、なおさら狙い目です。

 

しかし、一棟マンションの経営をうまく続けるのは、かなり大変

“常に満室経営のつもり”が理想とは述べましたが、現実的には厳しいでしょう。

一棟マンション投資は初心者に不向き!破産を避けるためのリスク解説

 

少なくとも、これまでに不動産投資・不動産運用の経験を持たない人が、遊休地にアパートやマンションを建てて安定した収益を得続けることは、難しいと思われます。

不動産投資・運用の経験値が乏しいのであれば、遊休地を売却して、区分マンション投資など別の少額投資を始める資金にするほうが、まだ賢明かもしれません。

 

一棟マンション運用と区分マンション運用、加えて戸建て運用の差を知りたい人は、下記コラムを併せてご覧ください。

不動産投資の代表的な3種類を比較~マンション1棟所有・マンション区分所有・戸建て所有~

《5》遊休地を「定期借地」として活用する

定期借地イメージ

【定期借地の平均支払地代率 約2%】
※地域差があるようです。

 

最後に説明する遊休地の活用方法は、「定期借地」としての活用方法です。

 

耳馴染みが無い言葉かもしれないので、言葉の意味から説明しましょう。

「定期借地」とは、事業提供者に遊休地そのものを一定期間貸し出すことを指します。

遊休地の所有者は、事業提供者が進める事業の利益の一部を、土地代として受け取ることが可能です。

 

遊休地の所有者は”遊休地を貸す”だけでいいので、初期費用やランニングコストなどはかかりません。

もちろん事業にも関与する必要がないので、「あれ、手間もコストもないのでは?」と思われることでしょう。

 

しかし1つ、見逃すには大きすぎる注意点があります。そのために、定期借地という活用方法を、“徹底的に遊休地を活用したい人向け”をうたう、当カテゴリーに置いたのです。

その大きな注意点とは、契約内容により最低でも10年は事業提供者に遊休地を貸し出す必要があり、その間は遊休地の売却ができない点です。

 

契約が満了すれば遊休地は所有者の手元に返ってきますが、それは30年先のことかも知れないし、50年先のことかも知れません。

 

「長期的に遊休地を活用したい」というよりはむしろ、「長期間自分の手元には返ってこなくていい」、「長期間転用したり売却する予定がない」、または「いつか返ってはくるんだけど、気持ち的には譲渡でもいいやと思っている」という人に合う活用方法です。

ここまで紹介してきた他の遊休地の活用方法と比べて、いささか限定的であると言わざるを得ません。

 

また、借地借家法などの法的知識が、遊休地の所有者側に備わっていないと、事業提供者側とトラブルになりやすい活用方法でもあるので、コストや手間がかからないとはいえ、簡単な気持ちで選択する活用方法ではないでしょう。

 

< 参考ページ >

⇒ 借地借家法 第22条~第24条
※上記ページへの新しいタブが開きます。

【他にもある!遊休地の活用アイデア】

電球

・携帯アンテナの設置
・コインランドリーの経営
・貸店舗の建設/経営
・貸工場の建設/経営
・医療福祉施設の建設/経営
・オフィスビルの建設/経営  ……etc

遊休地の活用方法がない場合は「売却」も1つの手

遊休地の売却

いい遊休地の活用方法が見つからず、引き続き持て余すくらいなら、潔く売却することも1つの手。

 

手の加えられていない遊休地=更地は活用の幅が広いため、個人から法人まで幅広い層から需要があります。

「何でもいいから」と方法を深く検討せず活用に踏み切り、失敗してしまうくらいなら、手早く更地のまま売ったほうが得策かもしれません。

 

専門家の中には、「遊休地の売却だって、”遊休地を活用する”方法だ」という旨の見解を示している人もあります。

ちなみに、遊休地を活用も売却もしないままで放置すると起こりうる問題に、次のような事柄が挙げられます。

遊休地を放置すると起こりうる「6つの問題」

土地のトラブル

  1. 収益が無いのに所有しているだけで税金がかかる
    ⇒ 固定資産税・都市計画税など
  2. 不法投棄場所にされる
  3. 不審な人物が住み着く
  4. その他犯罪の現場になりうる
    ⇒ 2~4により「5. 周辺住民からのクレームが入る」
      これらを防ぐために「6. 雑草処理などの管理費用が嵩む」

 

意図はどうあれ、自分に対して相続された土地が、トラブルの火種や資産に関する悩みの元になることは、決して望ましくありませんよね。

 

“活用するのか”、それとも”売却するのか”を早めに判断して、遊休地を放ったらかしにしないことを推奨します。

特別に優れた遊休地の活用方法は無い!自分の人生に合う方法を自分で選ぼう

遊休地活用に納得

遊休地の活用方法 主なメリット 主なデメリット
太陽光発電 ・人がいない土地で活用できる
・ランニングコストが低い
・天災などで破損する恐れ有
・日照時間に収益が左右される
青空駐車場の経営 ・低コストで活用できる
・短期間でも活用できる
・場所が悪いと収益が出ない
・収益性と節税効果が薄い
トランクルーム/貸倉庫の経営 ・遊休地が狭くても収益の割がいい
・市街地から離れていてもよい
・認知度が低いと収益が出ない
・市街化調整区域では経営不可
賃貸住宅(マンション等)の経営 ・満室経営なら高収益が見込める
・相続税対策になる
・初期費用が莫大
・経営が難しい
定期借地 ・コストがかからない
・活用の手間がかからない
・10年以上転用・売却できない
・事業提供者と揉めるリスク有

 

以上、資産運用・資産形成のために遊休地を活用する、5つの方法について詳しく解説してきました。

 

上記の表でも分かるように、それぞれの活用方法が有する特徴は、メリット・デメリットともに独自的であり、いずれかの活用方法が特に優れているという訳ではないことがポイントです。

誰かに勧められて活用方法を選ぶのではなく、様々な活用方法のメリットとデメリットを考慮して、自分の人生計画に合った活用方法を選ぶことが1番です。

 

ただ遊休地を放置することは、お金の面でもその他のトラブルの面でも好ましくないため、「そういえば、あの土地どうしようかな?」と思い立ったら、すぐに行動すべきでしょう。

 

「土地活用のことも、資産運用のことも全然分からない!」という人は、資産運用や土地活用、相続対策について相談できるところがないか探してみるといいです。

 

ちなみに当社『グランヴァン』は投資用不動産の販売会社ですが、マンションを購入してくださったオーナー様向けに、ライフステージに合わせた様々な相談(アフターサポート)も承っていることが強みです。

 

 

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