不動産投資の金利上昇リスク想定 | 抑えておきたいリスクヘッジ

金利上昇イメージ

 

2018年8月に、トルコリラ/ 米ドル相場が一時的に20%超も下落した、“トルコリラショック”は、1年以上経った今も記憶に新しいです。

 

このトルコリラショックで示されたのは、金融市場は常に急変動の可能性があるという事実でした。

金融市場に何かしらの大きな変化があれば、それが不動産投資の金利にも反映されてきます。

 

不動産投資を行う方の中には、「日本経済が変わり、ローン金利が上昇したら、どうしよう?」と、心配されている方が少なくないでしょう。

 

そこで今回の記事では、“もしも、不動産のローン金利が上昇してしまったら?”というリスクを想定して、投資者が備えておくべきこと・考えておくべきことをまとめていきます。

現在の日本のローン金利上昇リスクは?

リスクについて考える人

まず、そもそも現在の日本にローン金利上昇のリスクがあるのかどうか、ローン金利上昇の条件を踏まえて考えてみましょう。

 

あくまで推測の域を出ませんが、現状ではローン金利が急上昇するリスクは低いです。

好景気の傾向があるとはいえ、目に見えた変化がないことや、中央銀行(日本銀行)によるゼロ金利政策・マイナス金利政策などが影響し、日本のローン金利は何年も低い水準を保っています。

ただ現状ローン金利が低すぎる状態なので、多少上昇していくことは十分に考えられます。

 

金利が急上昇する要因を考えると、人口減少問題の解決策ができ、日本の景気が大幅に良くなることが、金利急上昇の条件と考えられるでしょう。

例えば、人口減少の対策として日本が秀でたAIシステムを開発し、その技術を海外に輸出できたとすれば、上記条件が満たされます。

この場合、不動産ローンの金利が大幅に上昇するかも知れません。

 

他にも経済好転のきっかけがあるかもしれないので、可能性は低いとはいえ、ローン金利上昇に備えておくのは無駄ではないでしょう。

以下では、もしも不動産投資で金利上昇した場合に起こる変化を、挙げてみます。

不動産投資で金利上昇すると起きる変化

ローン金利上昇イメージ

  1. 毎月のローン返済額が上がる
  2. 目指していた利益に到達しづらくなる

不動産投資において、金利上昇すると起きる大きな変化は、上記2点です。

以下でそれぞれの変化に関する内容を、詳しく見ていきましょう。

【1】毎月のローン返済額が上がる

当然と言えば当然ですが、ローン金利が上昇すると、毎月のローン返済額が上がります

ただし、無制限・無条件にローン返済額が上昇する訳ではありません。

そんなことが起これば、ローンを返済できない方が続出してしまいます。

 

ローン金利の上昇を想定し、現在日本では“5年ルール”という、不動産投資の仕組みがあります。

金利上昇のタイミングに関わらず、ローンの返済額は5年に1回しか変わらないというルールです。

 

また、金利上昇があっても、ローン返済額を元の1.25倍までしか増額させない仕組みを、“1.25倍ルール”と言います。

※金融機関により5年ルールや1.25倍ルールがないところもあります。

【2】目指していた利益に到達しづらくなる

金利上昇が起こると、毎月のローン返済額が増えてしまうのは、先述した通り。

毎月のローン返済額が増えるということは、家賃収入から差し引いたあと手元に残る資金が減ることも指します。

 

仮に「不動産投資開始○○年で○○円の利益が出るだろう」と計画を立てていたとしても、金利の上昇が起こり毎月の支出額が多くなってしまえば、目標金額を達成するまでに、計画よりも長くかかってしまうかもしれません。

 

長期的な資金計画を多かれ少なかれ狂わせてしまう、これが金利上昇リスクのおそれるべきところです。

金利上昇に伴うイールドギャップの縮小に注意

注意イメージ

イールドギャップとは、「金利」と「利回り」の差のことを言います。

あくまで単純計算のうえでの話ですが、イールドギャップが大きいほど、投資用不動産の収益性は高いです。

 

また、イールドギャップの存在は、単に利回りの高い物件が収益性に優れているとは判断できない事実もあらわしているのです。

【例】

①利回り8% / 金利5%の物件 ⇒ イールドギャップは3%

②利回り5% / 金利2%の物件 ⇒ イールドギャップは3%

利回りと金利の比較をしなければ、①の利回り8%の物件の収益性が高く思えるが、実際は②の物件と大きな違いはない!

 

さてここからが本題ですが、もしも不動産投資における金利上昇が起こると、このイールドギャップが縮小し、消滅してしまう可能性があります。

 

例えば、利回りが低いがローン金利も低いおかげで、なんとか収益を保っている物件

もしもローン金利が上昇したら、毎月の支払が増えて(=イールドギャップが縮小)、赤字経営になってしまう可能性が高いでしょう。

ローン金利の上昇に備えて行うべき3つのこと

ポジティブイメージ

先述したように、現在は不動産のローン金利が低いため、「不動産投資をやっておいた方がお得」という意見が多いです。

 

ただし、トルコリラショックのような経済状況の急変リスクは常にあり、決して金利上昇リスクがゼロになることはありません。

だからこそ、ローン金利上昇が起きた場合を想定した備えが、重要となります。

 

  1. あらかじめ出口戦略を立てる
  2. 変動金利から固定金利に変更する
  3. ローンの繰り上げ返済をする

【1】あらかじめ出口戦略を立てる

不動産投資における出口戦略とは、保有不動産を売却することを指します。

保有不動産を売却する理由は資産を組み換えるため、利益を出すため、または損失を抑えるためなど様々です。

 

仮に2,000万円の物件の場合、金利1.8%なら64,000円ほどになる毎月の支払いが、金利3.5%に上昇すると毎月82,000円になります。

ただ、先述した1.25倍ルールが適用されると、金利が3.5%に上がったとしても、5年間ルールも踏まえて最初の5年間は毎月の支払いは変わらず、5年後の返済額見直しの際もMAX80,000円までしか上がりません。

 

とは言え、16,000円の負担額増加は、投資家としては痛い所でしょう。

築年数の経過に伴って増える傾向にある、修理・修繕費も考慮するなら、ローンが支払えなくなり自己破産に陥る前に、保有不動産を売却する決断をしなければいけないかもしれません。

 

どのような出口戦略を描くかは、“自分は負担額増加にどれだけ耐えられるのか”という前提を踏まえ、個々に考える必要があります。

不動産投資の出口戦略の立て方|売却のタイミングと成功のコツ

【2】変動金利から固定金利に変更する

変動金利から固定金利への変更を検討することも、1つの金利上昇リスクに対する備えです。

通常、同一の銀行で住宅ローンの借り換えはできないため、別の銀行で借り換えをするのが一般的でしょう。

 

ただし、“金利が上がったら即、固定金利に借り換える”という考えは危険です。

というのも、変動金利から固定金利への借り換えは、タイミングがとても重要とされています。

基本的に金利は、変動金利よりも固定金利が先に上昇する傾向にあるため、変動金利が上がったのを見てから固定金利へ借り換えをするのでは、“手遅れ”になってしまいやすいのです。

 

さて、もし仮に2,000万円の物件を35年のフルローンで購入していた場合、金利が違えば毎月の支払いがこのように変わります。

  • 金利1.9%の場合 ⇒ 65,230円
  • 金利2.5%の場合 ⇒ 71,499円

1ヶ月で6269円差、10年では752,280円差です。

 

もし、15年後には変動金利が4%になる可能性が考えられる場合、支払い金額はどのように変わり・どうするのが理想的なのか、以下で分かりやすくシミュレーションしてみました。

【プランの変更に伴う金額シミュレーション】

※以下、シミュレーション条件

・支払い額の見直しは、5年に1度
・固定金利は2.5%スタート、金利上昇に伴い10年後には3.9%になると想定
・変動金利は1.9%スタート、5年ごとに金利が0.7%上昇し、15年後には4%になると想定(支払額の見直しは、5年に1度)

―― ①20年間変動金利の場合
金利
(プラン)
毎月の
支払い額
5年総額
1~5年 1.9%
(変動金利)
65,230円 3,913,800円
6~10年 2.6%
(変動金利)
71,610円 4,296,960円
11~15年 3.3%
(変動金利)
77,344円 4,640,640円
16~20年 4.0%
(変動金利)
82,264円 4,935,840円
合計 17,787,240円

 

―― ②10年固定ののち、変動金利に変更する場合
金利
(プラン)
毎月の
支払い額
5年総額
1~5年 2.5%
(固定金利)
71,498円 4,289,880円
6~10年 2.5%
(固定金利)
71,498円 4,289,880円
11~15年 3.3%
(変動金利)
78,086円 4,685,160円
16~20年 4.0%
(変動金利)
83,054円 4,983,240円
合計 18,248,160円

 

―― ③10年固定ののち、他銀行の10年固定に借り換えする場合
金利
(プラン)
毎月の
支払い額
5年総額
1~5年 2.5%
(固定金利)
71,498円 4,289,880円
6~10年 2.5%
(固定金利)
71,498円 4,289,880円
11~15年 3.9%
(固定金利)
83,246円 4,994,760円
16~20年 3.9%
(固定金利)
83,246円 4,994,760円
合計 18,569,280円

 

―― ④10年間変動金利ののち、10年固定に借り換えする場合
金利
(プラン)
毎月
支払い額
5年総額
1~5年 1.9%
(変動金利)
65,230円 3,913,800円
6~10年 2.6%
(変動金利)
71,616円 4,296,960円
11~15年 3.9%
(固定金利)
82,455円 4,947,300円
16~20年 3.9%
(固定金利)
82,455円 4,947,300円
合計 18,105,360円

 

※金利は借入先の銀行や、不動産投資会社によって違うため、あくまでも想定として出している数字となります。

【シミュレーションの結果】

仮に、変動金利が今後15年間で、少なくとも4%ほどに上昇する場合、下記のような支払い総額シミュレーション結果となりました。

①約1,779万円(20年間変動金利の場合) < ④約1,811万円(10年間変動金利ののち、10年固定に借り換えする場合) < ②1,825万円(10年固定ののち、変動金利に変更する場合) <③1,857万円(10年固定ののち、他銀行の10年固定に借り換えする場合)

 

この場合、変動から固定への借り換えが有効に働きましたが、借り換えのタイミングやその後の金利上昇率など状況によっては、変動のままで耐えておくほうが良かった可能性も考えられます。

ローンの借り換えによるリスクヘッジは、状況を早く・深く把握する力がないとうまく行かないので、不動産投資初心者には厳しいのかもしれません。

 

【3】ローンの繰り上げ返済をする

ローンの繰り上げ返済をするのも、金利上昇のリスクを回避する1つの方法です。

 

例えば、金利が上昇してきていることはわかっている状態で、5年ルールによりあと1年間は毎月の支払額に変動がない場合。

ギリギリまで安い支払い金額にしておき、金利が上昇する前に繰り上げ返済をしておくと、元金が減るために、返済金額自体が下がります。

 

ちなみに、3,200万円のマンションを35年のフルローンで購入していた場合、100万円分の繰り上げ返済を行うと、毎月の支払い金額はおよそ4,000円ほど下がります。

 

上記のように、繰り上げ返済により支払額の調整ができるので、将来的なキャッシュフローを見越してローンの繰り上げ返済をすることは、大事なリスクヘッジの1つだと言えるでしょう。

不動産投資における金利上昇は悪いことばかりではない

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ここまで述べてきた金利上昇による影響を踏まえると、「金利上昇リスクが怖い……」と心配されるのは、普通のことです。

ただし、不動産投資における金利上昇が、必ずしも悪い状況であるとは言えないことも、また事実なのです。

 

金利上昇が起きるということには、日本経済が好転することが大きく関わります。

好景気が過熱しすぎないよう、お金を借りにくくするために中央銀行が金利を上げるからです。

 

東京23区の限られた地域(需要が高い地域)においては、利上げによりお金が借りにくくなる影響と、好景気により取引が活発になる影響を比較した時、後者の方が強い可能性が考えられるため、所有物件を売却しやすくなるかもしれません。

 

また、現状の金利だと、不動産投資はローリスク・ロングリターン型の投資ですが、金利上昇後はミドルリスク・ミドルリターン型の投資として扱うことができる可能性も有しています。

 

金利上昇リスクの存在を認め、自分に合った対策方法を考える必要はありますが、”5年ルール”や”1.25倍ルール”のような、投資者を守る仕組みもまた、存在しています。

 

「安心して不動産投資ができる」とまでは言いませんが、「金利上昇リスクをただ恐れて、不動産投資を諦める必要は無い」とは、言えるかもしれませんね。

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