不動産投資を活用した相続対策とは?メリットやデメリットを解説

相続対策イメージ

「終活」という言葉が、世間に広く認識された今の時代。

終活としてやるべきことは、生前整理や遺言書、エンディングノートの作成など様々ありますが、”資産(遺産)”に関することで重要度が極めて高いことは、「相続対策」です。

現在相続対策というテーマは、子が大きくなり孫も生まれたシニア層から、強い関心を持たれており、その恩恵なのか専門セミナーへの参加者が急増しているそうです。

そこで今回は、“そもそも相続対策とは何なのか?”という部分から簡単に触れ、よく「不動産投資は相続対策にいいですよ」と言われることの実態について、まとめてみました。

不動産投資で相続税を節税できる2つの理由

不動産投資は、相続対策に関係する「相続税・贈与税」の節税効果が期待できます。では、なぜ不動産投資が相続対策の節税効果に期待できるのか、2つの理由をご紹介します。

そもそも相続対策とは、下記のように3つの考え方で行う「資金対策」「税金対策」のことです。

  1. 遺産に対してかかる税金をできるだけ減額すること
    「節税対策」
  2. 遺産に対してかかる税金をできるだけ余裕を持って準備すること
    「納税資金対策」
  3. 遺族が争いなく遺産を分けられるように準備すること
    「遺産分割対策」

相続対策をする上で一番の懸念は、遺産を巡っての遺族間トラブルです。大きなお金が絡むため、とてもシビアな問題です。いくら仲が良いとはいえ、お金は人を変えてしまうことがあります。

ですから、元気なうちから事前に相続対策を考えておくことで「遺族の不安軽減」「遺族間のトラブル回避」に期待できます。

現金より不動産で相続する方が税金をおさえられる

投資用不動産は現金や株式といった資産に比べ、評価額を下げられるため、相続税をおさえられます。

一般的な預貯金や株式の相続税は原則として時価により算定される一方、不動産の場合は「固定資産評価基準」に基づき市町村が決定します。土地部分の評価額は、公示価格の約80%建物は購入価格の約50%です。さらに賃貸用住宅の場合は、貸付割合により土地は約80%、建物は約70%に下げることができます。

また「小規模宅地等の特例」という制度の対象になっていれば、貸付事業用の宅地、つまり賃貸用物件なら200平米まで評価額を50%減額できます。

自宅を相続する際に使われることが多い制度ですが、事業用宅地も対象となります。

ただし、相続人が賃貸事業を引き継ぎ、申告期限までに賃貸事業の対象となる土地を所有して事業を継続していることが条件です。

預貯金や株式に比べ、通常の資産評価額の30%程度まで引き下げることが可能で、相続税対策としては有効な手法の一つといえます。

増えた現金で不動産を購入して生前贈与できる

不動産投資をしていると、家賃収入で現金が入ってきます。理由1で解説したとおり、現金をそのまま残して相続すると、節税効果が低くなってしまいます。ですから、入ってきた現金を活用して、新たな投資物件を購入しましょう。

このように、手元に現金を残さず不動産として資産形成することで、相続時に評価額が低くなるため、節税効果を高めることができます。

不動産投資の節税効果について詳しく知りたい方は「不動産投資の節税効果|節税になる税金の種類と注意点」で解説していますので、併せてご覧ください。

 不動産投資の相続に関するその他のメリット

さらに以下では、相続税や贈与税に関すること以外で、遺産を一部投資用不動産に変えておくことのメリットを、2つ簡単に紹介しておきます。

その他のメリット1.運用がうまくいけば遺産を多く遺せる

発生した相続税・贈与税は、遺された家族が現金で納めなくてはいけません。

投資用不動産に遺産を変えておくことで、納めなくてはいけない税金の金額を減らすことはできますが、それでも金銭的な負担は決して軽いものではないのです。

そのため形態の話とは関係なく、できるだけ多くのお金を家族に遺すことが理想的です。(相続セミナーに参加する人も、同じように考えている人が多いようです。)

投資用不動産を購入し、さらにうまく運用して収益が出れば、当然ながら資産を増やすことができます。

つまり、家族に遺せる遺産の総額が、不動産収益でうまく貯蓄できたぶんだけ多くなるということです。もちろん、老後の蓄えにするという考え方もできます。

その他のメリット2.相続税・贈与税以外も節税できる

不動産投資による節税効果があるのは、遺産にまつわる相続税・贈与税だけではありません。

相続税・贈与税の節税ほどに大きな効果が期待できるわけではありませんが、実は所得税や住民税の節税にも関係があるのです。

しかし節税の効果が得られる「条件」があったり、節税の効果が得られる期間が限定的であったりすることには、注意が必要です。

不動産投資のあらゆる節税効果について、詳しく知りたい人は、「不動産投資で節税できる税金は4種類|節税効果の大きさと注意点」をご覧ください。

不動産投資で相続対策を行う2つのリスク

リスクを考えるイメージ

  1. 不動産投資を行うこと自体のリスク
  2. 税率構造が変更されるリスク

相続対策の一環で不動産投資で行うことには、大きく分けて2つのリスクが存在します。

リスクを甘く見ていると、減税した意味のない大きな損失が出てしまう可能性が高いので、必ず把握するようにしてください。

【1】不動産投資を行うこと自体のリスク

相続対策であるかどうかに関係なく、不動産投資を行うこと自体にリスクが伴うことが、1番の懸念点です。

「とりあえず現金を別の形にしておけばいい」という考えだけで、投資用不動産を購入することはリスクが大きすぎます。

  • 地震などの天災で物件がなくなってしまう可能性
  • 火事で物件が全焼してしまう可能性
  • 事故物件になってしまう可能性
  • 空室や入居者の家賃滞納が続きローンの支払いが厳しくなる可能性 …etc

上記のような、投資用不動産を”所有している間”のリスクを、避けて通ることはできないと考えたほうがいいでしょう。

そのためにまずは、不動産投資にどのようなリスクが伴うのか、あらゆる角度から入念に調べておく必要があります。

不動産投資に伴うリスクをまとめて知りたい人は、「始める前に知っておきたい不動産投資の20のリスク」と「不動産投資の地震リスク | 物件選びとオーナーの心構え」をご参照ください。

【3】税率構造が変更されるリスク

現在は「現金でそのまま相続するよりも、不動産に形を変えて相続するほうが、支払う税金を減らすことができる」という構造になっていますが、未来永劫そうであると確約されているわけではありません。

いつか自分が死んでしまう日には、税率構造が大きく変わってしまっていて、不動産で相続しても大した減税にはならない可能性があると、思っておいたほうがいいです。

未来のことは、誰にも想像することができません。

不動産投資で相続対策をする時に意識したい2つのポイント

不動産投資は相続対策として有効な手段ですが、大きな金額や資産が関わってくるだけに、遺族間であってもトラブルに発展するケースがあります。例えば、下記のようなトラブルです。

  • 不動産を誰が取得するかで揉める
  • 取得後の管理費は誰が払うかで揉める
  • 現金化するかしないかで揉める
  • 誰がどの割合で相続するか揉める

など。

これからご紹介する2つの意識すべき点を把握して頂き、トラブルを回避しつつスムーズに相続を行いましょう。

不動産を分割する

複数の相続人がいる状況で、1人だけ不動産を相続できるという場合、誰が取得するかで揉めるケースがあります。不動産の場合、現金資産よりも節税効果が高く、不動産を活用した資産運用を行いやすいためです。

この時は、不動産を分割することで解決しやすくなります。分割方法は下記のように4つあります。状況に応じて選択するといいでしょう。

それぞれが不動産を所有したいなら「現物分割」

不動産を相続人同士で分割したいなら、現物分割があります。それぞれが不動産を取得できるので、同じ価値の不動産を所有できる可能性があります。ただし、分割した不動産の価値が均等ではないことのほうが多いため、不動産は残りますが価値に差が出ることは認識しておくべきです。

1人が不動産、残りが現金を相続したいなら「代償分割」

1人が不動産で、残りの遺族が現金を相続したいなら、代償分割があります。不動産相続人を決めて不動産を相続し、その不動産相続人が残りの遺族に対して現金で分配できます。ただし、分配する相続人は、不動産の評価額から人数分の分配金を用意する必要があることを覚えておきましょう。

不動産を売却し全員が現金で相続したいなら「換価分割」

相続した不動産を売却して現金で分割したいなら、換価分割があります。不動産はキャッシュを生む資産になりますが、中には「管理したくない」「固定資産税を払いたくない」などの理由から、売却して現金資産に変えるケースがあります。

ですが、不動産の状況次第では、すぐに現金化できなかったり、希望金額での売却ができなかったりする場合があることは注意しておきましょう。

不動産を共有する

1つの不動産を分割するのではなく、共有するという方法もあります。不動産の相続をめぐって揉めた場合は長期化する可能性もあるので、その間はそれぞれが共有しながら考えたいという時に有効です。

それぞれの共有名義で管理することになりますが、誰が維持管理するのかという問題や、後々の運用にあたり対立が起きる可能性があります。トラブルを避けるためにも、よく話し合って決めましょう。

相続した不動産の分割について詳しく知りたい方は「相続した不動産を分割する4つの方法 | 遺族間の話し合いに必要な情報を紹介」で解説していますので、併せてご覧ください。

遺留分を意識する

遺留分とは、民法で定められた法定相続人に認められる遺産取得分(直系尊属のみが法定相続人になる場合は3分の1、それ以外のケースは2分の1)のことです。ここで言う法定相続人とは「配偶者・子供・親」であり「兄弟・姉妹・相続放棄した人など」は該当しません。通常、遺言などで指定された人に対して遺産相続が行われた場合、本来の法定相続人でも遺産相続ができなくなるケースがあります。

例えば、夫が亡くなった場合、遺産相続権は「配偶者・子供」に発生しますが、遺言で「特定の第三者」に遺贈してしまえば、もらうことができません。このようなときは、遺留分侵害額請求を1年以内に行うことで、侵害された分を取り戻すことができます。1年以内とはいっても「早急に行う」ことが肝心です。理由は、民法改正によって「遺留分を侵害する内容でも遺言の効力が認められている」ため、遺産相続が行われる前に請求しなければ、遺留分が認められないからです。ですから、相続対策をするときに、遺言があって法定相続人以外の相続が行われる場合には、遺留分に注目しておくも大切です。

相続税の減額”だけ”が目的の不動産購入は避けること

ビジネスウーマンポイント

以上、不動産投資と相続対策の関係について、お伝えしました。

現在の日本では、投資用不動産で財産を相続することが、節税対策の観点では有効であることは確かなようです。

ただ「相続税が減ればいいから」と、”質”にこだわらず収益性が低い物件(人が入りにくい地方アパートなど)を購入することは決してお勧めしません。

投資用不動産を購入してそのままで、例えばローンの金利上昇や空室率の増加などに無関心であると、後の税金を減らすことができても、不動産を持っている間の自己負担金額が増えて、遺したい資産がどんどん減っていってしまい、節税対策の意味がなくなります

投資用不動産を持つ本来の目的は、長期的に運用して収益を出すことです。

株のように簡単に売買できるわけではないので、相続対策のことだけを考えて不動産を購入するのではなく、長期間の運用を成功させる覚悟がなくてはいけないでしょう。

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