失敗したくない!中古アパート経営を始める前に知るべき3つのリスク
- 区分マンション投資よりも利益が出そう
- 一棟マンション投資よりも手軽そう
不動産投資について知ったばかりの方は、上記のような理由で中古アパート経営に興味を持たれるかもしれません。
確かに中古アパート経営には多くのメリットがありますが、利回りに関する正しい知識や、中古アパート経営ならではのリスクを頭に入れておかないと、経営に失敗してしまう可能性が高いです。
今回の記事では、中古アパート経営で失敗しないために知っておくべき知識をお伝えします。
“中古アパート経営が自分にとって最適な投資方法と言えるのかどうか”判断するための、参考にしてみて下さい。
目次
中古アパート経営ならではの5つのメリット
- 低金利ローンによるレバレッジ効果
- 価格が手頃な中古物件がたくさんある
- 継続的な安定した収入が見込める
- 貨幣価値が下落してもアパート価値は下がりにくい
- 事業的規模の投資と判断されれば利益率を向上させやすい
中古アパート経営に関する書籍やサイトでもよく紹介されている、中古アパート経営ならではのメリットを5つピックアップしました。
【1】低金利ローンによるレバレッジ効果
“自己資金の範囲では本来生まれるはずのない金額の利益が、融資を受けて投資を行うことで得られること”、これが不動産投資におけるレバレッジ(てこの原理)です。
不動産投資のレバレッジは、投資物件の利回りよりも借入金のローン金利が低いほど、高い効果が得られます。
2019年現在、不動産投資ローンの金利は2~3.5%と低金利であるため、高いレバレッジ効果を得られる状態なのです。
今後、不動産投資ローンの金利が徐々に高くなっていく可能性が指摘されていますが、現状は「中古アパート経営はレバレッジ効果を高く得られる方法」だと考えておいても問題ないでしょう。
ただ最近は、某銀行の不正融資の事件の影響が大きく、各金融機関のローン審査が厳しくなってきていて、組むことが可能なローンの限度額が減少傾向にあることを、頭の片隅に入れておくといいです。
【2】価格が手頃な中古物件がたくさんある
アパートは、マンションと比べると耐用年数が短いです。
鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数 | 47年 |
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木造アパートの耐用年数 | 22年 |
※ちなみに耐用年数とは建物の寿命ではなく、税務上で定められた減価償却の目安となるものです。
耐用年数の違いを見ても分かるように、アパートの多くは、新築から15年以上経つと外観や部屋の劣化が進んでくるため、空室リスクを避ける目的で、家賃を引き下げる傾向にあります。
そしてもちろん家賃が下がる分に応じて、物件価格自体も安くなります。そのため築15年以上の中古アパートは、価格が手頃なことが多いのです。
ただし、“単身者が多いため都内のアパートは価格が下がりにくい”など、立地条件によって事情は異なりますので、注意してください。
ちなみに、相続税対策として郊外に建てた中古アパートを手放したいがために、安く売っているケースもよく見られます。
ただ、地方アパートには後述するそれなりのリスクが伴うため、安いからといってすぐに飛びつかないことを推奨します。
【3】継続的な安定した収入が見込める
中古アパートとはいえども、こまめな修繕を行うことで実際の築年数の割にキレイに見せるなど、常に満室になるような経営ができていれば、家賃収入の安定性は高いです。
先述したように、中古アパートの購入費用自体が安いため利回りが良く、工夫を凝らして満室の状態を保っていられれば継続的な収入が得られることになります。
ただ、”中古アパートの利回りの高さ”には、1つ落とし穴があります。これについても、後ほど説明しましょう。
【4】貨幣価値が下落してもアパート価値は下がりにくい
“モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が下がる”、いわゆるインフレが起こった場合、株やFX(外国為替証拠金取引)は大きな影響を受けます。
ケースによっては、あっという間に大損失から破産の流れをくむこともあり得るので、その点ではかなりリスキーです。
しかし、実物資産(それ自体に価値がある資産)の1つである中古アパートの場合、インフレが起こっても大きな影響を受けないため、他の投資商材と比較すると、安定しているといえます。
極端な例ですが、仮にインフレが起きたとしても、ローンの金利がそのままであり、アパートをアパートとして持ち続けて家賃の変更もしないなら、収支には何の関係もありません。
【5】事業的規模の投資と判断されれば利益率を向上させやすい
不動産の貸付の規模が事業的規模であると認められると、必要経費や所得控除できる金額が増えます。
中古アパートをまるごと1棟経営するなら、事業的規模の基準の1つである「5棟10室」という基準をクリアできる可能性が高く、様々な控除を受けられるようになるため、利益率が上昇します。
- 家屋(戸建)は貸付できる数がおおむね5棟以上あること
- アパートは貸付できる部屋の数がおおむね10室以上あること
上の表は、「5棟10室」基準の目安を分かりやすくまとめたものです。特に重要なのは「10室」の方ですね。
基本的にアパートは一棟マンションよりも小規模なので、自分がオーナーとして物件の完全自主管理を行う選択肢も取りやすく、その場合は不動産管理会社への依頼費用を削ることができるため、さらに利益率は向上します。
中古アパート経営は本当に利回りがいいのか
ここまでで、中古アパート経営の5つのメリットを紹介しました。どれも、投資家にとって魅力的なメリットです。
しかし見落としてはならないポイントもいくつかあります。その1つが「中古アパート経営の利回り」です。
- 区分マンション経営
- 中古アパート経営
- 一棟マンション経営
実は、上記3種類の不動産投資方法の中で、特に中古アパート経営は、”購入時の利回りは高く見えても実際はそんなに儲からないケース”が多いのです。
「中古アパートは利回りがいいので、工夫を凝らして満室を保てれば家賃収入が安定する」とは先述しましたが、決して利回り通りにうまく儲かるわけではありません。
何故かと言うと、中古アパートの価値は、新築一棟マンションの価値と比べると下がりやすいからです。
例えば”築25年の中古アパート”と、”新築一棟マンション”の価値の下落率を比較した場合、ほぼ間違いなく中古アパートの価値の下落率の方が高いのですが、その原因は建物の耐用年数の違いにあります。
中古アパートの構造は軽量鉄骨造か木造であることが多く、鉄筋コンクリート造であることが多いマンションと比べると、建物の劣化が進みやすいです。
外壁や屋根の耐久性も低いため、補修工事が15年から20年に1回、必要になります。
それでも、構造部分の劣化は止められないため、中古アパートは建物としての価値が下がりやすいのです。
中古アパートの”建物としての価値”が下がる場合、家賃も引き下げなければ、後述する空室リスクに影響します。
そのため、仮に「高利回りで狙い目!」だと感じて築15年の中古アパートを購入したとしても、その中古アパートが築25年に差しかかった時には、購入時よりも家賃を引き下げなくてはいけない可能性が高く、経営当初見込んでいた収益には届きません。
つまり、単に高利回りであることを理由に、リスクヘッジが甘いまま中古アパート経営を始めてしまうと、十数年後アパートの価値が下落した時に、想定通りの家賃を回収できず痛い目を見ることになってしまうのです。
中古アパート経営で見逃せない3つのリスク
不動産投資は比較的安定した投資方法であるとはいえ、”投資”である以上リスクが伴います。
以下では、中古アパート経営において特に注意すべき3つのリスクを紹介します。
- 空室リスク(未入居リスク)
- 入居者トラブルリスク
- 修繕リスク
【1】空室リスク(未入居リスク)
中古アパートは、マンションと比べると駅から少し離れている場所や、都心ではなく地方に建てられることが多いです。
人が集まらない場所にも関わらずアパートが建つのは、先述したように”財産を持たれている方が相続税対策のために取りあえず建てる”傾向があるためです。
仮に距離以外は同条件として、駅から遠いアパートと駅に近いアパートを比較すると、今いる入居者が退去した場合に、空室が続く可能性が高いのは、圧倒的に前者の駅から遠いアパートです。
当然ですがアパートに空室が増えるほど、そして長く続くほど、家賃収入は減少します。
さらに、空室リスクが高いことが原因で、区分マンション投資・一棟マンション投資でよく聞くサブリース契約(家賃保証)がつかない場合があることもネックです。
サブリース契約を結んでいない場合、”空室の間はその部屋の家賃収入が完全にない”訳ですから、家賃収入からローン支払いができなくなることも、想定しておかなくてはいけません。
中古アパートの空室期間を作らないために、住人の退去後すぐに家賃を引き下げることもありますが、基本的に中古アパート経営は”大幅なリノベーションを行わない限り、価値が下がり続ける(家賃収入が減り続ける)もの”なので、焦って家賃を下げてしまうことはオススメできません。
むやみな家賃の引き下げは、将来的な家賃収入が大きく減少する原因になります。
【2】入居者トラブルリスク
基本的に中古アパートには、マンションの家賃では暮らすことが難しい人が暮らします。
そのため一概には言えないものの、家賃滞納トラブルが発生する可能性が高いことが示唆されています。
また、どうしても一棟マンションと比べると、中古アパートは壁が薄いことが多く、騒音トラブルも発生しやすいです。
中古アパートの入居者同士のトラブルが発生した時、管理会社と契約していれば、仲介に入りトラブル解決に向け動いてくれます。
ただし、中古アパート経営の利益率を上げるために、自主管理をしている場合は、何もかも自分で対応しなくてはいけません。
両者の不満を聞き入れることは精神的な負担が大きく、トラブルをうまく収められなかった結果、退去されて空室が続くこともあります。
- 構造をしっかり見極めて、騒音トラブルが起きそうな物件は購入しないこと
- 入居者の審査を厳しく行い、悪質入居者を入れないこと
中古アパートの入居者トラブルを防ぐためには、上記2点に気を付ける必要があります。
【3】修繕リスク
この記事の中でも何度か触れてきましたが、鉄筋コンクリート造が多い一棟マンションと比べて、木造や軽量鉄骨造が多い中古アパートは、耐久性は低いです。
屋根や外壁を定期的に補修しなくてはいけないほか、築年数が経つにつれ設備の故障頻度も高くなります。
補修と修理のタイミングが重なった場合、1度の支出が苦しくなることは明らかです。
中古アパート経営は、将来を見据えた最適な投資と言えるか?
では1度、ここまで述べてきた中古アパート経営に関する情報を簡単にまとめてみましょう。
- 立地面の都合上、空室リスクが高い
- マンションと比べて耐久性が低い
- 物件としての価値が下がりやすい
- 区分マンション経営と比べてハイリスク(お金がかかりやすい)
「レバレッジを利かせやすい」、「一棟マンションの購入よりは安い」といったメリットはあるものの、長期的な視点で考えたデメリットが意外と多いです。
一般的な収入のサラリーマンが扱うには、中古アパートは少しリスクが高く、最適な投資方法とは言えないかもしれません。
人口流動リスクを踏まえて選ぶ「いい投資先」とは
リスクをできるだけ抑えた不動産投資を行うためには、“人口流動リスク”を踏まえることが大切です。
- 人口が増えつつあるエリア
- 人口自体は減っても単身需要は減らないエリア
上記の要素から考えると、都心の区分マンション投資を行うことが最適でしょう。
中古アパート投資は、一棟マンション投資と比べると手を出しやすくはあるものの、長期的にきっちり経営していくことはやはり難しいです。
経営のノウハウが、かなり必要になってくると思われます。
“まずは堅実策”を取るなら、都心の区分マンション投資を検討してみましょう。